休戦期間が終了し、オーストリアも同盟国として参戦することにんった１８１３年ドイツ戦役。戦いの焦点はドイツ東部の都市・ドレスデンにあてられ、ナポレオンはここを拠点として攻勢にでます。ロシア・プロシア・オーストリア・スウェーデンと欧州諸国が反ナポレオンの旗印に集まりつつありますが、ナポレオンは同盟国軍が集結する前に一撃を喰らわせようと画策。ウディノをベルリンに向かわせると共に、まずはプロシアの老将・ブリュッヒャー軍に矛先を向けさせます。本音をナポレオンと戦いたくてうずうずしていた老将でしたが、同盟国同士の取り決め「ナポレオンと正面から戦わない」という方針の厳守を部下から諫言され、ブチ切れながらも退却。この闘争本能の塊こそブリュッヒャーのブリュッヒャーの所以です。かくしてまんまと逃げられたナポレオン。同盟国側の思惑が読めていない様子です。遂にその大陸軍の「弱点」が露呈してしまいました。一度戦略の有効性に気づいてしまった以上、最早ナポレオンも「無敵」ではなくなってしまいます。自らが指揮を執った戦場では勝利を収めながら、将軍たちが次々に敗れていく状況にと寂しそうに見つめるミュラでした。史実ではモローはこの後、後送されてチェコで亡くなるのですが、やはりそれでは寂しい。どこかで見せ場を作ろうとするためにミュラとの一騎打ちの場面を設けたのでしょう。決して脇役でもきちんと見せ場を作ってあげる長谷川先生の執筆姿勢です。かくしてナポレオンの軍略の前に敗れ去る同盟軍。ナポレオンが戻ってきただけでかくもあっさり有利な状況をひっくり返され、今更ながらにナポレオンの天才的な用兵家ぶりに戦慄する同盟国首脳部。あらためてナポレオンとまともに戦うことの愚を思い知らされたのでした。かくしてドレスデンの戦いはナポレオンの勝利に・・・さて捕虜としてロシア皇帝の前に引き出されたヴァンダム。アレクサンドルはヴァンダムの所業（命令不服従に略奪、虐殺）といった行為を非難するのですが、それに対するヴァンダムの返答はそんなヴァンダムに声をかけたのが意外にもフリードリヒ・ヴィルヘルム3世だったのです。事実上、同盟国のトップともいうべきロシア皇帝を前にして平然と言ってのけたヴァンダムという男に興味を持った国王。言いたいことを言ってのけ、やりたいことをやってのけるヴァンダム。自分が王様になったらやりたい放題の暴君になったろうというヴァンダムにその人でした。ルイーゼ王妃が健在な時は「実質的国王は彼女」と言われ、誰からも軽んじられてきた凡庸なこの男もまた自らの国王の責務に揺れ動く「一人の人間」であり、その一人一人に背負うものがある。この点はやはり歴史モノとしては本作が非常に秀逸です。今回は懐かしい顔ぶれ、あるいは今回だけの顔ぶれが登場します。何しろこの時代の関係者は多すぎて、『ナポレオン』ですら拾いきれるものではない。それでもきちんと見せ場を作ってくれるのでありがたいことです。それでは本編感想入ります。かくしてドレスデンへ急遽帰還したナポレオン。皇帝の帰還に将兵を沸き立ちかえり、たちまち「皇帝万歳」の唱和がドレスデンに響きだします。その歓声はドレスデンを包囲する同盟軍にもナポレオンの帰還を悟った首脳部たちは逡巡します。ナポレオンとは正面から戦わない、それは開戦前から決められた戦略方針と戦いを目前にしながら背を向けるというのには抵抗があるのでしょう。そんななかこれまで殆ど目立ってこなかった男が声を上げます。ヴァンダムには不思議なことに高い知性と狂戦士と呼ばれる野蛮な部分が混在する不思議な将帥でした。彼の占領下におかれた地域では住民から高額の税を搾り取り、憎悪を浴び、まるで牢獄のような軍律を旗下の将兵にも適用していたのです。その一方では補給については細心の注意を払っていた為に兵士からの人気は高かったと言われています。ナポレオンでさえ彼の人間性を忌避していたのは↑の通り。そのために多くの元帥たちも上官を上官とも思わず彼の態度に手を焼き、どうにか使い越せたのはあの軍律の厳しさでは№1のダヴ―だけという有様。ところがそんな男もナポレオンの前では「子供のように震え上がる」という不思議さ。捕虜となった後、ロシア皇帝に対して啖呵を切ってみせたのは漫画の通り。翌年帰国した後ワーテルローにも参戦して、この時彼はグルーシーの配下でナポレオンの本隊と合流するように進言するのですが、普段からの城館を上官とも思わぬ不遜な態度が災いしてグルーシーに「答えはＮＯだ！」と拒絶。かくしてワーテルローの戦いにおいてはヴァンダムの人間性がもう少しよければ…という所でジ・エンド。彼はしばらくアメリカの亡命したのちに、帰国を許されましたが、かつての狂戦士の面影もなく隠遁生活を送って1830年に喉頭がんで世を去りました。これまで凡庸で臆病（失礼！）な男がついに声を上げた！起った！王が起った！これまで欧州諸国の国王達では常にロシア皇帝アレクサンドルやオーストリア皇帝フランツ1世に比べても影が薄い男が遂に奮い立つように声を出します。その様は君主たちもそして肝心のプロシア軍幕僚たちもこの返答に顔面蒼白となるアレクサンドル帝。実はアレクサンドルは父帝パーヴェル1世の暗殺に関わっていたという黒い噂があったのでした。元々父帝の政策に反発する貴族に担ぎ上げられた経緯があるために、自らもそれに深く気にしていたのです。そのためにツァーリの前ではこの件に触れるのはタブーであったのです。そこを平然と言ってのけたことで周囲も一瞬張りつめてしまいますが、当人は平気の平左。遂に見え始めたナポレオンの落日、一度動き出した流れは天才ナポレオンと言えども抗うことはできない。そんな今回の話の主役は意外や意外。ナポレオンはもちろん味方の同盟国君主、果ては臣下にまで「腑抜け」と言われた「ナポレオンがいない所では本当にうまくいくではないか！直接対決を避けるとはこういうことか！」さてその頃、同盟軍の後方をつくべく、別行動をとっていたヴァンダム将軍の第1軍団でしたが、予想外の事態に襲われ、前後を同盟軍に包囲される状況に。皮肉なことにそれはナポレオンの指揮の及ばない範囲で起きた予想外の事態が思わぬ結果となって、同盟軍にとっては僥倖に、そしてヴァンダムにとっては不運なことになってしましったのでした。そしてここで初めて首脳部も事実に気付いたのでした。ヴァンダムとフリードリヒ・ヴィルヘルム3世、意外な組み合わせが話を盛り上げた所で話は締めくくられます。と声を上げます。国王など実際には古い慣習、しきたり、ｅｔｃ.…酒池肉林を楽しめる「暴君」などほんの一握り、王族というのは常に「自由」とは無縁の存在であるという心からの声でした。本音を打ち明けたフリードリヒ・ヴィルヘルム3世に自分も本音を出したヴァンダム。ナポレオンからは「もし君がもう一人いたら、君にもう一人を撃ち殺せ命令するだろう」と忌避されるほどナポレオンからも忌避される存在であること。しかし混成同盟軍の哀しさ、撤退命令が届き切れず戦闘が開始されてしまいます。それはまさにナポレオンが待ち望んだ好機！更に豪雨が降り注いだことで川が濁流となったことで同盟軍が右翼と左翼で分断されたチャンスをナポレオンは見逃しません。ロシア遠征で指揮権を放り投げたミュラに対して汚名返上で攻撃命令を下します。すでに皇帝への反感を隠し切れくなっていたミュラでしたが、騎兵指揮官としてはやはり有能であり、あっとういまに同盟軍を蹂躙してしまいます。そのミュラに対して一騎で向かってきている敵将。それは皮肉なことにかつてナポレオンの対抗馬とみなされるほどの革命の英雄であり、後にナポレオン暗殺謀議に加わったことで国外追放になっていたモロー将軍。今ではロシア軍の元帥として、皮肉なことにフランス軍と対峙した敵将との一騎打ちとなったのでした。「二流元帥！」「お飾り国王！」と罵りながら、ぶつかりますがしかし既にモローは瀕死の重傷を負っており、勝負はあっさり決着と感無量の様子。無理も無い話。ここまでプロシアを引っ張ってきたのは愛妻であるルイーゼ王妃だったのですから。しかしその細君は世を去った今、遂に奮い立った国王。しかし、参謀長グナイゼナウはそれでも引き止めます。ナポレオンとは戦わないことが必勝の戦略である以上、その声にやむを得ず受諾してシュンとしてしまいます。城と歴史が好きな一人の旅行者がその記録を備忘録代わりにしたものです。城・鉄道・そして戦争の歴史に言及した記事を保管庫として利用しています。 ヤングキングアワーズ2015年3月号より以下、ネタばれあります。（未読の方はご注意ください） ナポレオン-覇道進撃-（長谷川哲也先生）コミックス8巻、ほやほや発売中！そんな今回、ティルジットの和約。恒例の1ページ目、衝撃シーンから始まった今回。 最新刊の単行本を読むと、 ・続きが気になる！ ・次の巻の発売はいつ頃なの？ と、早く続きが読みたくなるものですよね。 そこでそんな方のために、【ナポレオン～覇道進撃～】最新刊19巻の発売日予 ナポレオン -覇道進撃-18巻を漫画BANKの代わりに無料で読む方法を知りたいですか？本記事では漫画BANKの代わりに安全に読めるサイトを解説しています。 ナポレオン -覇道進撃-18巻を漫画BANKの代わりに無料で読む方法を知りたい方はぜひご覧く … 【試し読み無料】栄華を謳歌するかに見えたナポレオン時代にもいよいよ陰りが…モスクワ遠征にて敗走!それぞれの思惑と政治と戦争が錯綜するロシア戦役編!読むだけで歴史が … 『ナポレオン 覇道進撃』103話 解放戦争編③ ネタバレ感想有 | 「城塞」征旅飛翔：装鉄城戦記2010～2019 「城塞」征旅飛翔：装鉄城戦記2010～2019 城と歴史が好きな一人の旅行者がその記録を備忘録代わりにしたものです。 『ナポレオン 覇道進撃』108話 解放戦争編⑧ ネタバレ感想有 | 「城塞」征旅飛翔：装鉄城戦記2010～2019 「城塞」征旅飛翔：装鉄城戦記2010～2019 城と歴史が好きな一人の旅行者がその記録を備忘録代わりにしたものです。 【最新刊】ナポレオン ―覇道進撃― 18巻。無料本・試し読みあり！栄華を謳歌するかに見えたナポレオン時代にもいよいよ陰りが…ロシア戦役で大失敗したフランス軍を狙い、ロシア・プロシア連合軍が攻めてくるリュッツェンの戦いが開始！

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